第1回
一般教養科目公開講座
於:SAYAKA大ホール
平成25年6月28日
いつもいきいき笑百科



大阪弁護士会所属 弁護士
三瀬 顯 氏



25年度の公開講座開講にあたり、橋本代表からご挨拶

                講演要旨

ものは考えよう。楽しい笑いのある生活の中の法律
  三つのいきいき
  @ 生きるための金。
  A 粋―不粋ではつまらない。
  B 意気―しょぼくれていてはもったいない。
    少し、視点をかえて

 

はじめに
 高い席から失礼します。三瀬ですよろしく。先ほど今朝、取りたての、さやえんどうを戴きました。困った事に、嫁はんは8年前に天国に逝きました、戴いて有難いけれど、どうしたものか、昔は嫁はんと一緒に鞘をとったりして楽しくやっていたけれど、今、鞘を一人で取るのは、寂しいんですよ。こないだ母の日が終わりましたが、福井県丸岡町の「母への手紙」を思い出しました。
 絹さやの鞘を取っているとお母さんを思い出します、お母さん有難う。何気ない言葉ですが、我々に幼い頃を呼び込んでくる。皆さんは年取ったけれども心は全然年をとっていないと思います。「雪しんしん少年の日に帰りたし。」少年少女の頃、雪の中で元気に遊んだことを思い出します。
 皆さん方はまだまだ元気です、体が多少故障気味なだけで、気持ちはいつまでも元気だなと私は考えていますし、今も自分に言い聞かして毎日を過ごしています。
 2年前、心筋梗塞で手術しました、お蔭様で元気になりました、今は、自分を試す時期だと思い、これからは余生を元気一杯、楽しもう、くよくよしても仕方が無い。体力は激減しましたが、最近は、ジムやプールに入り運動しています。そうすると体力が付いて来る、自分自身に対してのボランティアしましょう、ダラダラしていたら、自分の毎日の楽しい人生を無駄使いしてることになるのだと思います。
 京都の植物園に行きました。花は期待はずれでしたが、風が良かった。俳句の句で言えば「青嵐」しゃくなげも色々咲いていましたが花が疲れているのよ、熟年の木だなと思いました。歌で言えば「夏が来れば思い出す はるかな尾瀬とおい空・・・みず芭蕉の花が咲いている 夢見て咲いている水のほとり しゃくなげ色にたそがれる はるかな尾瀬とおい空」我々は自然と歌を思い出します。そして青春を取り戻せる。わしは年やわたしは年や、この気持ちが年寄りにするんで、心はいつも青春だと思えばこんな素晴らしいことは無い。
 人のことは良く解るが、自分のことは解らない。でも人にはなかなか言えないものです。
 私は愛媛県出身ですが、親がいなくても、友達が離れ離れでも故郷はいいとこだなと思います。
 この街で育って、現在もこの地域で生きておられる方は一番幸せだと思います。愛媛県出身の歌人正岡子規の俳句に「故郷はどちらを見ても山笑う」山は色々な姿を我々に見せてくれます
春 山笑う  山が笑っているようにいろんな色合いでニコニコしている。
夏 山滴る  緑の雫が木々から落ちてくるような雰囲気ではないですか、オゾン一杯で
秋 山装う  綺麗ですよね、紅葉によって色づく山
冬 山眠る  布団着て寝たる姿や東山
俳句を嗜まなくても、人の句を詠んで情景にひたることはボケない方法です。私は碁をやってます、碁はボケ防止に最適です。お金はかからないし、頭を使います、皆さんにお勧めです

生きるための金
 生きる為には金が要る。金があったら幸せか?「幸せは金ではないが金がいる」いいえている。「粋(いき)」反対の言葉で言うたらわかり易い、不粋
「意気」人生意気に感ず、60・70になっても人生意気に感ず、この心意気は大事です。
人生にも季節があります。
春 青春 アメリカの詩人サミエル・ウルマンは「青春とは時間の経過を言うのではなく心の持ち方である」。詩人は日本人と通じるものがある。 30代
夏 朱夏 真っ赤に燃えた太陽だから、燃えるような夏 30代から40代
秋 白秋 髪も白くなり、ちょっと勢いが落ちてきた、北原白秋の白秋  50代・60代
冬 玄冬 掲諦掲諦(ぎゃーてーぎゃーてー)波羅掲諦(はらぎゃーてー)
波羅僧掲諦 (はらそーぎゃーてー)に限りなく近づいてゆく  70代
 玄冬といっても個人差がありますから、白秋から玄冬にゆく間に、陽だまり、小春日和がある。そこには行動や趣味や皆さんとの集いの中で、創ってゆくものです。一つのものの見方であることを理解して下さい。
「生きる」から始めましょう
 最近、つらいのは高齢の方、特に女性が騙され易い、おれおれ詐欺、振り込め詐欺、お母さん助けて詐欺、つらいよね。お父さん助けてとは言わない。お金を持っているのは女です、お母さん助けてと聞けば、信じてしまいます。だいたい騙されたと言う認識が無いのです。
 騙されない為にはどうして騙されるかを押さえておけば、騙され難いです。人を信用するから騙されます。信じることは宗教的には美しいこと、道徳的にも美しいことですが、それを悪用する「わる」が世の中には沢山いるということをまず押えておくこと。
 私は、友人関係でお金の貸し借りは絶対ダメだと思っています。友人関係が悪くなります。私も経験があります。友人に金を貸す時はくれてやるくらいの腹でないといけない。信用することは大事だか、用心もしなくてはいけない。信用する人が多く集まると信者=儲けになる。オウムがそうです。信者さんは大事、宗教は大事、だけど、その裏には騙しのテクニックが隠されている事がある。皆さん気をつけて下さい。
 イソップ物語には動物を使って、色々な騙しのテクニックが書かれています。紀元前の話ですが、その時代から人は騙すものだということを教えています。
 騙されやすい人達とは、娘や息子です。お母さん助けて!お金貸して、なかなかお父さんには言わない。昔の川柳に「母親はもったいないが騙しよい」お母さんは出来るだけのことはしてやろうという気持ちになります。
 子供のためにお金を出す。これは美しいことです。親孝行で返ってくる。見返りを期待してはいないが、そういう時代がありました。今はいくらつぎ込んでも、いくら大事にしても、恩義で報いようとする子等は少なくなった。それよりも、まだ生きているのに遺産どれくらいあるか、たまらないですよ。
 税制でも高齢者から金を子供たち、孫たちに贈与しましょうとしている。これは国を挙げて爺ちゃん、婆ちゃんを騙しにかかっていると思うのです。500万・1000万を蓄えるのに、どれだけ努力が必要ですか、どれだけ節約が必要ですか、苦労して貯めたお金を、子供たちにくれてやるのは美しい、でも将来、親孝行で返してくれると思うなら完全な錯覚です。今の社会では家庭内の親孝行は絶滅危惧種、非常に少ないです。それを期待すると父親も母親も騙されます。いい難いことですが、現実を見ている弁護士の私としては、言わねばなりません。これも川柳で言うと解り易い「親孝行したくないのに親がいる」。こういう時代に代わって来ました。介護保険制度により、若者達は保険料を払っておけば、親孝行は市町村が面倒を見てくれるという意識になって来ています。
 娘や息子に金貸してはいけない。今形だけの保障はありませんし、形だけの担保もありません。子供たちが貸してくれ言うて、来たら、今何とかできるのはこれだけ、後はできた時に返してくれたらよいことで貸してやり、誠意を示す。無論お金のある人は問題ないことです。
 貸してくれは「貸して」と「くれ」に分けて考えること。「貸して」は心にないホラで、本音は「くれ」なのです。子供たちは「くれ」と言うている。現実に親子間の債務不履行で裁判はしない。蓄えがあるからゆとりがある。蓄えを貸したらどうなりますか、病気で倒れたら忽ちお金が必要になる。入院費はどうしますか、彼らはまだまだ借りたいくらいですから、お金はありません。不人情ではなくて、非人情です。皆さんは生活の事を考えて対応して下さい。

粋について
 人生いきいき、粋の反対は不粋、不粋は付き合いたくない相手です。先ず、精神的にも健康で快適な日常生活を過ごすことです。仕事に誇りを持ち、健康にも役立つ、そのような発想をすれば人が嫌がる仕事も関係ない。
 いろいろあって、最近、熟年離婚が増えてきています。女性の意識が強くなった事もあります。だけど、女性は結構、別れるための準備金を貯め込んでいます。女性は金をしっかり持っているから、平気で別れましょうと言うことになる。それで財産分与も貰える、場合によったら慰謝料も貰える、だけどそれで別れるのは惨いなと思いますが、女性はいやになったら簡単に別れましょうと冷たく言い放つからね。それで路頭に迷っている男どもがウロウロしている。
女に捨てられたら男はとてもじゃないけど生きていかれません。くれぐれも申し上げとくけど、女達よ別れる時は遠慮会釈無く男から財産を巻き上げよ、そうでないと自分がつらいのよ。だけど基本的には辛抱できるのならお互いに譲り合って老後の生活を楽しむのが一番良いに決まっている。妻がいることに感謝しなければいけない。女は別れる前に、この夫とどうやって付き合っていったらよいか考えることが大事、適当な距離をおいて、適当に妻の職責を果たす。それさえやっていたら、先ずは大丈夫なのです。ハリネズミの距離というのがあります。適当な距離を置いて付き合う事が大事です。お互いを傷つけない距離を置いて付き合う、これが永続きする熟年の付き合いです。
 生活笑百科でいろんな人とご一緒しました。皆さん夫々に一生懸命頑張っている。芸人さんは、自分のつらい病気のことも笑いのネタにして元気に活躍している人がいました。皆さんにお勧めしたいのは、なにより早期発見・早期治療につきます。妻の場合も、何だ、かんだで、医者に見てもらったらガンが拡がっていて、手の施しようが無い事態になっていました。
 色々申し上げたが、結局、青い鳥は自分で育まねばならないし、向こうからやってくるものでもありませんし、青い鳥に対する手当てを怠ったら青い鳥自身も死んでしまいますよ。

人生意気に感ず
 結局人生意気に感じなくダラっと生きている事ほど虚しいことは無い。やはり人は興味・好奇心・感動をいつも生み出してゆく、泉のように、湧き出すように興味・好奇心・感動を持ちながら毎日を過ごしてください。
 「ふるさとの訛りなつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」石川啄木
寺山修二さんは「ふるさとの訛りなくせし友といてモカ珈琲はかくまで苦し」と言っています。ふるさとに対する思いはいつまでも友にしておきたいとの切ない思いが田舎出身の人にはある。興味・好奇心・感動を持ち続けて頂きたいと思います。
 会社の社員が帰ってきまする「社長すみません 注文30万しか取れませんでした」社長はどういいますか。「あほか、田中・吉田はいつも100万取ってるぞ」と言えば、社員はガクと来ます。一生懸命努力して取ってきて、それぐらいかと言われて、しかも他の人の名前を挙げて比較される、これはつらいことです。ある社長は「30万、この不況の時に、よく取れたね、それで、よく頑張ったな、それからどうした、それでどうした、それぐらいどした」と話をどんどん聞いてやる。社長の若い頃は苦労したよ、こんな方法も取ったよと話してやる。同じ言葉でも心を込めて話してやることが大事です。
 夫婦の間でも「それがどうした、それでどうした」と話しをするとまた元気になる。男達よ争うより先に「ごめんなさい」先ず謝る。何を食べても「おいしい」「料理上手ね」まずくても「うまいな」「何処で取れたの、」「どうやって作ったの」そして、ありがとう。

 皆さん方、お聞き戴いて有難うございました。



平成25年5月 講演の舞台活花



活花は季節に合わせて舞台を飾っています。


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