平成14度
熟年大学
第七回
一般教養公開講座



12月講演舞台活花


於:Sayaka小ホール
平成14年12月19日


 【人生に退職なし】

講師
特別愛知尼僧堂堂長
正法寺・無量寺住職

青山 俊董 



女あり、二人行く
若きはうるわし、老いたるはなおうるわし

ホイットマンの詩が語りかけるような
人生の仕上げをしてゆきたいものです。




吉屋信子さんの歌に
【手のつかぬ、月日豊かや、初暦
と言う句がありますが、新年の手づかぬ暦を手にして、その上にいろいろな可能性を描いてみる楽しいひと時を詠ったものです。

時間という財産は全部の人が平等に頂いているものですが、その時間の使い方によって人生は変わってきます。

その時間で人生を光で埋めてゆくか闇で埋めるか大きな違いとなります。

お釈迦さまは、この世の中には四種類の人が居ると仰っています。
闇から闇へ行く人と

闇から光へ行く人

光から闇へ行く人
光から光へ行く人です。





闇と光で象徴する人生の明暗で、闇を膨らませて行く生き方、闇を踏み台とし肥料と転じて光へ生きてゆく人、この人生には四種類ある事から、二つの学びを知っておきたいのです。

●一つは、人生変えて行くことができるよ。 つまり闇から光りへの希望です。
●二つは、変えて行く主人公は他ならぬ自分の今日只今の行き方にかかっている事です。

これが教えから学ぶ二つのことです。

目線が違うと見える人生が変わってきます。見えなかったものが見えてくる、これも大きな財産です。

人生のくだり坂、谷底で見える景色を喚くより、そこの景色を十分楽しむ姿勢になれば、それはそれで結構ではないでしょうか。これが闇から光への姿勢です。

(心に残るお話数題略)

お釈迦さまに次の言葉があります。

過ぎ去れるを追う事なかれ、いまだ来たらずを思う事なかれ、過去そは既に捨てられたり、未来そは未だ来たらざるなり今日まさになすべきことを熱心になせ、誰か明日死のある事を知らんや。

今ここで正になすべきことを熱心にせよとの教えです。

【還暦の峠を越えて 新たなるまた旅立ちを するぞ嬉しき】

人生に退職なし。最後まで本番、最後ほど本番、最後ほど仕上げ時です。

人生ではいかなる最後も受けて行かなければならないのですが、願いとして、老化でなく老花でありたいと思います。

人生の最後まで一歩一歩、一針一針、すべてに於いてどう運ぶか、親が我が子に運ぶようにすべてにおいて親心真心を運んでゆこうじゃあないか、これが老心です。

このように人生の最後まで、一歩一歩一針一針をよき人の仰せに導かれながら、どう運ぶか、一歩一針をどう生かすか、やり直しの出来ぬかけがえのない人生に卒業なし。いつも本番と言う態度で取り組んで行ければいいなと、それより他に我が人生の根粒もなしと思っています。 人生に退職なしです。