第7回
一般教養科目公開講座
於:SAYAKA大ホール
2023年10月19日

「加齢黄斑変性症と日常生活の注意


 

淀川キリスト教病院眼科部長

中井 慶 氏

講演要旨
  眼科といえば、みなさん第一に何が思いつくでしょうか。まずは白内障でしょうか。近年眼内レンズ どんどん進化し、従来の単焦点レンズにくわえて、遠近ともよく見える多焦点眼内レンズ、そして、 点距離が少しだけ深く、遠中がみえやすい保険適応の眼内レンズがあり、詳しくお話しいたします。 して加齢黄班変性も取り上げます。

1 加齢黄班変性症と日常生活の注意

 情報の80パーセントは眼を通します。目を失うことによって80パーセントの情報が失われることになります。目を大切にしましょう。

(1)症状

 加齢に伴い網膜黄班部が出血し、変性を起こす疾患です。人は黄班部で物を見ており、出血すると視力低下の原因になります。どんな病気でしょうか?加齢によって、黄班が障害される病気です。黄班は一番大切な部分であって、その黄班が障害されるのが、病気の特徴です。黄班が悪くなると中心がゆがんで見える、ぼやけて見える、暗く見えるのが最大の特徴です。

患者さんが電柱を観察するとゆがんで見えます。さらに進むと真ん中がぼやけます。出血すると中心の影が濃くなり、出血がさらに拡大すると見たい部分が見えなくなります。周りは見えているが、見たい部分が見えなくなるのがこの病気の特徴で、増加中です。欧米では高度視力障害の第1位で、アメリカで特に多く、日本でも増加中、めずらしい病気ではありません。

(2)原因

 原因は人々の高齢化や食生活の欧米化、脂質の多い食事が原因と考えられています。半分以上の人は片眼に出ます。視力の状況によっては視覚障害に該当しますが、完全に失明する人はまれです。加齢黄班変性には2つのタイプ、萎縮型と滲出型がありますが、多いのは水が漏れているウエット型、滲出型です。新生血管から出血する水が漏出するのが滲出型です。新生血管は脆弱で、水がもれて見えにくくなる。水、出血がたまって新生血管からもれだした脂肪分の貯留と考えられます。放置しておくと視力が低下する。自動車の免許は視力が0.7、新聞を読めるのが0・4程度です。どんどん視力が低下しますので早期発見早期治療がお勧めです。片目をかくしてまっすぐなものを見て、見え方がおかしいなと感じたら早めに眼科を受診してください。現在では開業医にも断層撮影をする機械があり、黄班部はへこんでいるのですが、富士山みたいに盛り上がっているのが悪い状態です。水が溜まることにより黄班が持ち上げられてみえにくくなって、ゆがんで見える。

(3)治療

 網膜の裏側にできた新生血管の勢いを止めて視力低下の進行を少しでも遅らせるということが目標です。治療法は手術、レーザー、薬物療法があります。現在行われているのが薬物療法で、血管を抑える薬剤を眼注射します。大切なのは、眼球に注射しますが、注射器は見えません。まぶしく見えませんし、麻酔で痛くありません。数秒で終わります。この薬剤が新生血管の増殖を阻害し、局所治療が一番よく効きます。注意点としては治療費が高額で、初診が10月でしたら10月11月12月に注射して新生血管の発生を防いだうえ、2月4月6月に大体2か月ごとに注射するパターンです。

(4)予防

 日光浴は日に当たりすぎるのは良くありませんが、有害な紫外線をカットするため、サングラス(ブルーライトカット)がおすすめ。脂質を多い食事は良くない。
食事・運動・ストレス・睡眠・禁煙・健康診断など生活習慣に気を配るようにしてください。サプリを買って飲むことも予防に役立つ。

2 白内障

(1)症状

 水晶体が白色に濁るのが白内障、水晶体の混濁で光が入ってこず見えにくくなる。白内障は加齢で、かすんで見え、濁っていることで光が乱反射し、ライトをまぶしく感じます。また眼鏡を変えても近視が進行します。

(2)原因

 水晶体が白く濁るのは加齢や、アトピー性皮膚炎が原因として挙げられます。手術で混濁した水晶体を摘出し、眼内レンズを挿入します。手術は510分程度。白内障は水晶体をきれいなレンズに置き換えます。ドクターと信頼関係を築いた上で手術を受けてください。手術はナイフや注射針は見えませんし、点眼麻酔で痛みは感じにくいです。人生の質が格段に上がります。

方法は、水晶体をメスで2ミリ創口を作成し、そこから超音波で水晶体を破砕し、眼の中のハンモックに眼内レンズを挿入します。ピントを遠くに合わせるのか、近くに合わせるのかは担当医と相談ください。単焦点レンズが多く、保険が効きます。3割負担の患者さんでは約10万円、単焦点は遠くがよく見え、近くにはメガネが必要です。最近はメガネが要らない多焦点の眼内レンズがあり、遠中近眼鏡不要で、多焦点は保険診療ではなく、両眼で50~60万円必要、保険診療外です。2019年4月から焦点の広い眼内レンズが保険の範囲内で、遠中が良く見え、ただ近見にメガネが必要で、レンズは保険適用です。当病院でも患者さんの要望にあわせて、焦点深度の深い保険適用多焦点レンズもお勧めしています。

 


2023年10月 講演の舞台活花



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