第10回
一般教養科目公開講座
於:SAYAKA大ホール
平成28年3月17日

おいしく食べていきいきしよう
〜体内年齢を若々しく保つ食べ方のコツ〜




野菜ソムリエ協会講師
中沢 るみ 氏

  

講演要旨

体内年齢が実年齢より若い人達は「食べ方」に共通点がありました。
疲れがとれる食べ方、集中力が高まる食べ方など・・・
おいしく食べて、カラダもココロも元気になる「食べ方のコツ」をご紹介します。

 

野菜のパワー
1.たけのこ
 かつて、たけのこはたいして栄養もない野菜として知られていました。ビタミンA・B・Cもほとんどありません。ところが今、アンチエイジング効果、体内年齢を若々しくさせてくれるパワーがあると、たけのこに大きな注目が集まっています。近年の研究で、たけのこには人の体を若々しくする成長ホルモンがたっぷり含まれているということが明らかになったのです。
 成長ホルモンとは、子供が成長し、大きくなるのに欠かせないホルモンで、大人になった後も私たちの体にある古い細胞を新しい細胞に入れ替えてくれる作用があります。夜の10時〜2時の間にどんどん新しい細胞を作っていきます。成長ホルモンの出る時間帯には寝ておきましょう。私たちのお肌も骨、内臓などすべて器官は、成長ホルモンによって再生されています。近年、アメリカのハリウッドスターなどが若々しさを保つためにこの成長ホルモンを飲んだり注射を打って取り入れようとされています。
 たけのこは一日に10cmや20cmも伸びる成長パワーを秘めています。成長ホルモンの素になるものがタケノコに多く含まれています。

 調理するときに栄養も旨味も逃さないコツをご紹介します。
 ◆たけのこは切ってみると白い粉があります。白い粉を洗い流さないことです。この白い粉こそが、チロシンというアミノ酸の一種で、私たちの体を若々しくしてくれる成長ホルモンの素なのです。
 ◆ニンジンやショウガはきれいに洗って皮はむきません。皮と実の間の部分には、薬効や栄養素がいっぱい含まれていて皮をむくとその栄養素も減少してしまいます。
 ◆レンコン、ゴボウのアクは取りません。アクはポリフェノールの一種です。このポリフェノールが細胞の酸化を防ぎ、アンチエイジング効果をもたらしてくれるのです。

2.山芋

 山芋はスタミナ食材としても有名です。焼き肉や鰻などよりもスタミナが出るという調査発表もあるほどのパワーを秘めた野菜です。
 山芋は体の大掃除をしてくれます。ネバネバ食材(水溶性の食物繊維)が腸に届いたときに余分なコレステロールとか老廃物とかを吸着し、外に出してくれる働きもあります。
 山芋は若さを保つためのカギを握るいろんなホルモンの素が含まれていてアンチエイジング効果が期待できます。
 アメリカでは、健康の為にサプリメントを摂り入れようとする流れがあります。いくらサプリメントを摂っても元気を実感出来ない方がおられます。酵素が足りなかったからです。新鮮な野菜・果物には酵素が入っています。ポイントは生です。酵素は60度以上加熱すると働かなくなります。いくらサプリメントを摂っても元気を実感出来なかった方は生の生きたパワーが足りなかったのです。アメリカの食生活は加熱したものが多く、ステーキ・ハンバーガ・ポテト・・・・これらは生のパワーが足りなかったと言うことです。酵素が足りないといくらビタミン剤を飲んでもうまく体に吸収されず効果が現れてくれません。それで生食レストラン(ローフードレストラン)が出来ました。一番人気は「マグロの山掛け」です。スタミナがついてアンチエイジングによくて記憶力や集中力も高めてくれるメニューです。生の山芋には酵素がたっぷり含まれています。
 野菜は加熱したほうがいいですか、生のほうがいいですか、とよく聞かれますが、どちらもいいところがあります。加熱するとかさが減るのでたっぷり食べることが出来ます。加熱したものばっかりだとこの生きた野菜の力、酵素が取れなくなります。1日に1回ぐらいは生のものを摂ってもらうといいです。

3.ナス

 ナスの紫色にはアンチエイジング・パワーがあります。ナスは90%以上水分で出来ており、ビタミンもミネラルもタンパク質もカルシウムも、ほとんどありません。ナスの紫色を作っているのが、アントシアニンと呼ばれる栄養素です。紫色のパワー、アントシアニンはブルーベリーでよく知られています。紫色の野菜や果物にたくさん含まれています。
 ナスはどうして紫になっていくのでしょうか?ナスは実が出来たばかりの時は白です。紫外線からのダメージを守ろうとして紫色になっていくのです。ではナスを太陽に当てずに育てると白いナスが出来るのでしょうか。ナスの実にアルミホイルを巻いて育ててみると白いナスが出来ました。ナスにゴムを巻いて育てるとそこだけ真っ白でした。太陽は植物を育てる上で欠かせない存在ではありますが、強い紫外線が人の肌に有害なように、ナスの実にもダメージを与えてしまいます。だからナスは自分自身を紫外線のダメージから守るために、日を浴びるごとにどんどん紫色になっていくのです。
 ナスの栄養素をしっかり吸収したいなら、皮のまま食べるようにしてください。最近は生産者の方が品種改良して、皮が柔らかいサラダナスも栽培されています。ナスの皮が硬くて苦手な方はこういう新野菜をチェックしてみるのもいいかもしれません。

カラダは3か月で変わる!
 体質について聞かれたことがありますか。高血圧の体質とかアレルギーの体質とか言いますね。私は体質というのがあると思っていました。お医者さんから体質といわれると諦めてしまいそうですが、大学で栄養学を学ぶようになり体質は3か月で変われると聞いたのです。私たちの体は細胞が60兆個集まって出来ています。細胞は常に生まれ変わり代謝を繰り返しています。胃は約30日、腸は約40日です。お肌は約28日周期、口の中の細胞は約2日で入れ替わります。質のいい細胞にすると自然と体質も変わっていきます。疲れにくい体質、むくみにくい体質、高血圧でも低血圧でもない体質、ニキビのない体質・・・・に変わっていくと言われます。細胞は血液から生まれてきます。血液の質がよければ質のよい細胞ができます。血液は水と食べ物から摂取する栄養から作られています。ということは、質のよい水と質の良い栄養で質の良い血液が出来ます。質の良い血液から質のよい細胞が生まれて質の良い体になっていくのです。
 どうして3か月で体質が変わるのでしょうか?水と栄養から細胞が作られるのに100日、約3か月かかるから体質は3か月で変わるのです。この話を聞いた時、本当かどうか自分で人体実験をしてみようと思いました。私は病院でニキビ体質といわれて諦めていましたがどのように変化するか試してみました。自分に足りない栄養素を調べ、その栄養素が含まれている食べ物を常に意識して食べ続けました。結果、1か月目にお肌のテカリが無くなり、2か月目にニキビが治まり、症状がみるみる改善されていきました。お肌の調子がよくなると同時に気持ちがあがりました。食べ物を変えれば、体も変わり、そして心も変わっていくと気づきました。「食べ物と体・心の関係」について30年以上研究を続けています。
 栄養で心も変わるという実験をうさぎでしました。普通のエサのグループ、ミネラル抜きのエサのグループで育ててみました。後者のグループは、喧嘩ばかりするようになって挙句の果てには子供を産んでも育てなくなり、正常な愛情がわかないようです。私たちの社会でも子供虐待とか子供を愛せないとか・・・それは愛情ミネラル不足と関連しているのではないでしょうか。

栄養不足のサインは?
 栄養が不足するといろいろなサインが現れます。
 爪に白い斑点が出ていませんか?これは栄養不足のサインです。新しい細胞を作るときに必要な栄養、亜鉛が足りないと白い斑点ができます。同時期に味覚がおかしくなってきます。口のなかは新陳代謝が活発です。あたらしい細胞が出来なければ味覚がなくなります。こんな時には亜鉛の多いものを摂ってください。海のカキには多く含まれています。カキのシーズンでなければ貝類も多いです。
 まぶたがピクピク動くことはないですか。マグネシウムという栄養不足のサインです。ピクピク動くのを放っておくと脚がつってきます。さらに放っておくと突然死になる可能性もあります。マグネシウムは別名天然の精神安定剤と呼ばれています。ストレスを感じるとマグネシウムがどんどん出て行ってしまいます。栄養をしかり摂っていてもマグネシウム不足ということがあります。銀行の方にピクピク動くことがありますかと聞くと月末に多いとのことです。ストレスがたまりマグネシウムがどんどん無くなっていくからです。そんな時に私のおススメはゴマです。ゴマにはマグネシウムとカルシウムがバランスよく含まれています。ストレスがたまった時には多めにいろんな料理にふりかけて召し上がるといいです。ゴマはそのまま食べてもうまく消化吸収されません。いりゴマよりもすりゴマの方が消化吸収がいいです。すりゴマを長く置いておくと油が酸化しやすいので、いりゴマを買って、食べる直前にゴマすり機ですってください。すりたてだと香りもいいし消化吸収もいいです。
 栄養バランスという言葉をよく聞かれると思います。一日に必要な栄養素を摂るための目安として、次の栄養素をバランスよく摂ることが理想です。エネルギー、タンパク質、カルシウム、鉄分、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCです。一食に必要な量をバランスよく食べると、食べたものが体の中で代謝して新しい細胞になり元気でいられます。足りないといろんなサインが現れます。

ビタミンA

 ビタミンAが不足すると真っ先に現れるサインは目です。目が乾くことをドライアイといいます。皆さん瞬きせず10秒間開け続けることが出来ますか?やってみてきつかった方はビタミンAが不足しています。にんじん、かぼちゃ、ほうれんそう、色の濃い野菜にビタミンAが多いのです。野菜以外ではホタルイカ、レバーにビタミンAが多く含まれています。ビタミンAが不足すると風邪をひきやすくなります。ビタミンAは粘膜を強くしてくれます。鼻ものども粘膜です。粘膜が弱いと風邪をひきやすくなります。引く前、ゾクッとした時、こじらせてしまった時、それぞれ効くビタミンが違います。
 予防にはビタミンA、ゾクッとした時にはビタミンCです。ビタミンCを摂ると白血球がパワーアップします。こじらせてしまったときはビタミンEです。免疫力を上げてウイルスを追い出してくれます。
 3つのビタミンを一緒にまとめて摂ると単独で摂るよりも相乗効果でさらにパワーアップします。かぼちゃにはビタミンA・C・Eがたっぷり含まれています。ビタミンCが豊富でグレープフルーツと同じくらい入っています。血流を促進してくれる栄養素・ビタミンEの豊富さはすべての野菜の中でトップクラスです。冷え性や肩こり改善にはピッタリの食材です。ビタミンA・C・EはビタミンACE(エース)とも言われ、アンチエイジング効果があり、若さを保ってくれます。

ビタミンB1

 ビタミンB1が不足すると疲れが取れない、だるい、体が重いというサインが現れます。別名疲労回復ビタミンとも呼ばれています。疲れた時には皆さん何を食べたくなりますか?体の声を聞いてください。お肉ですか?甘い物ですか?
 お肉の中では豚肉にビタミンB1が多く含まれています。
 甘い物を食べたい時は精神的な疲労、すなわちストレスです。ネズミにストレスを与える実験をすると砂糖水を必要以上に飲みます。甘いものを飲みたくなるのはストレスが原因です。糖質の代謝にはビタミンB1が使われます。甘いものを食べてビタミンB1が消費されて体が重くなって悪のスパイラルに入る人が多いです。
 では甘い物を我慢しようとすると我慢がストレスになります。ストレスは体によくありません。食べたい時は体の声、心の声を聞いて自分が本当に食べたい物をまず味わって食べて心を満たします。甘い物を食べたならその糖質を代謝してくれるビタミンB1が必要ですから食事には豚肉を食べるといいのです。このような食べ方が上手に出来ると体も心も元気になっていきます。身近にある物を手当たり次第に次々食べてもエネルギーは摂れますが心が満たされません。体と心が満たされる理想的な食べ方を目指しましょう。
 豚肉を食べる時に一緒に調理するとビタミンB1の吸収がよくなる相性のいい野菜があります。ニンニク、ニラ、ネギ、タマネギです。これらは臭いの強い野菜です。
 香りにパワーがあります。香りの素はアリインという香り成分です。調理する時は細かく刻めば刻むほどアリインがアリシンに変わってパワーアップします。油と一緒に加熱するとアリシンがアホエンと言う物質に変わりさらにパワーアップします。記憶力アップや血液サラサラ効果が高まります。
 さらにパワーアップするには豚肉と一緒に炒めてください。豚肉のビタミンB1と香り成分・アホエンが一緒になるとアリチアミンという成分に変わります。アリチアミンはアリナミンのことです。豚肉、ニンニク、ニラ炒めとかそこにキムチを加えて豚キムチにするとか・・・・まさしく疲労回復メニューです。臭いの強い野菜の中でもニラにはビタミンA・B・Cも入っていて落ち込んだ気持ちを回復させてくれるパワーがあります。気持ちが落ち込んだ時はニラと豚肉がオススメです。香りの食材を味方につけてお料理に摂り入れてください。

ビタミンB2

 ビタミンB2は不足すると口内炎、口角炎、ニキビ、肌荒れ、吹き出物が出来やすくなります。ビタミンB2はサバ、サンマ、いわしとか背の青い魚と玄米などに多いです。これを食事に摂り入れようとしましたがなかなか毎日継続することは難しかったです。いろいろ試してみて私が続けることができ、実感できたのがヨーグルトです。ヨーグルトにはビタミンB2が多いです。ヨーグルトの苦手な方は納豆、ぬか漬け、キムチなどの発酵食品がオススメです。発酵するとビタミンB2が増えます。ご自身が好きで続けやすい物を探してください。
 ヨーグルトにもいろんな種類がありますが、自分と相性が合う菌に巡り合うと体調がよくなります。見つけるためには一つの食材を決めて2〜3週間続けます。相性があっているとおなかの調子がよくなり、カラダが軽く感じられ、朝の目覚めがよくなり、体調がよくなります。見つけるのに1年半かかる人もいましたので気長に見つけてください。
 ある人は京都のお漬物のすぐき漬けが合っていて、お腹の調子が良くなり、お肌の調子もよくなり、花粉症もよくなったそうです。すぐき漬けにはラブレ菌という強力な乳酸菌があります。それを使ったヨーグルトドリンクやスーパーのすぐき漬けも試してみたけれどあまり効果がなかったそうですが、賞味期限ぎりぎりの樽の底の方のすぐき漬けが効いたとの事です。何が合うかどうか、これが良いですとは一概には言えません。皆さんお一人お一人がそれを食べた後に自分の体がどんな反応を示すか知っていただく事が大切です。楽しみながら見つけてください。

ビタミンC

 ビタミンCは不足するとストレスに負けやすくなります。ストレスに対抗するホルモンの素、ビタミンCです。ビタミンCはコラーゲンを作ってくれる素にもなります。お肌は表面の表皮、その下に真皮層があり3本の繊維が束になり鎖状にギューッとつながっています。そこにコラーゲンがあります。コラーゲンはビタミンCだけでは出来ません。ビタミンCとタンパク質を一緒に摂るとコラーゲンを合成します。野菜は体にはいいですが野菜だけではコラーゲンは出来ません。コラーゲンは少なくなると繊維が伸びきってしまい、お肌の張りがなくなります。細胞と細胞がくっついているところが全部コラーゲンです。血管もコラーゲンです。弾力のあるコラーゲンで出来た血管ですと少々圧力がかかっても破れにくいですが、弾力がないと破れやすくなります。
 体内年齢を若々しく保つ秘訣はこの組み合わせ(ビタミンCとタンパク質)が上手に出来ているかどうかです。お魚、お刺身はタンパク質です。お刺身を食べるとき横についている大根のけんにはビタミンCがあります。大根のけんより青ジソの方がさらに多く含まれています。お刺身の時一緒に食べましょう。焼き魚の時はビタミンCが豊富な大根おろしを添えましょう。イチゴはレモン並みにビタミンCが多いですが、タンパク質があまりありません。イチゴだけを食べるよりもイチゴと牛乳でイチゴミルクにするとか、ヨーグルトと一緒に食べるといいです。ビタミンCとタンパク質の組み合わせを意識して摂りましょう。
 肌年齢測定器を使って実験してみました.80代の方に集まってもらい、ビタミンCとタンパク質の組み合わせを意識した食生活を3週間続けてもらったところ、なんと60代の肌年齢に若返っていました。逆に1週間ビタミンCの少ない食事をすると12歳の子供が63歳の肌年齢になってしまい、赤ら顔になりました。
 昔の食生活はご飯、お味噌汁、お漬けものが基本でした。特に東北地方ではタンパク質とビタミンCが不足しがちでコラーゲンが伸びてしまい毛細血管が見えて真っ赤なリンゴのほっぺになっていました。昔は鼻を垂らしている子供が多かったです。最近の子供は垂らしていません。これはビタミンAが不足していたからです。粘膜を強くしてくれるビタミンAが不足すると鼻や喉の粘膜が弱くなって鼻を垂らしていました。ある時期一斉に解消しました。全国の幼稚園に肝油ドロップ(ビタミンAを固めた錠剤)が配られたからです。鼻や喉の粘膜が強くなり、風邪をひきにくくなり、感染症が少なくなり、鼻も垂らさなくなりました。リンゴのほっぺとか鼻を垂らしている症状は子供の体に現れやすいのです。
 同窓会で若々しく見える人とそうでない人がいます。50歳の方の体内年齢を調べました。若く見えた方の体内年齢は39歳です。老けて見える方は68歳でした。若く見えた方はビタミンCとタンパク質を一緒に摂る組み合わせが上手でした。

カルシウム

 カルシウム不足のサインは、イライラする、落ち着きがなくなる、喧嘩早くなることです。カルシウムは小魚、小松菜・ホウレンソウ・大根の葉などに多く含まれています。栄養的にいうと葉の部分は、カルシウム、ビタミン、鉄分などぎっしり詰まっています。大根は葉の方が白い部分よりも栄養が豊富です。白い部分は薬効が多く、大根の消化酵素のパワーを摂り入れるには大根おろしにして召し上がってください。小松菜・ホウレンソウ・大根の葉などの青菜にはカルシウムが多いですが、吸収率が低く17%ぐらい。小魚で30%。小松菜などは、ちりめんじゃこを加えてお浸しにすると吸収率が高くなります。食べあわせを上手く意識しましょう。
 乳製品は50%近く吸収率がありますのでホウレンソウは牛乳ととろけるチーズなどを振り掛けてグラタン風に上手に組み合わせると吸収率が上がります。
 カルシウムはビタミンDと一緒に摂ると吸収率が高くなります。ビタミンDが不足するとつまずきやすくなります。平行感覚を上手に保ってくれるのがビタミンDです。
 キノコ類のシイタケ、シメジ、マイタケなどはビタミンDが多いです。シイタケは干して紫外線に当てるとビタミンDが増えます。

鉄分

 鉄分が不足すると真っ先に現れるサインがあくびです。赤血球の働きは酸素を全身に送ってくれます。鉄分が足りないと赤血球が少なくなり酸素を全身に送ってくれなくなります。真っ先に酸欠状態になるのは脳です。脳に酸素が足りないとあくびをして酸素を入れようとします。朝からあくびをしたり、ちょっとしたことで息切れをしたり、集中力が落ちたりするのは鉄分不足です
 学生さんにいろんな食材のグループに分けて鉄分の効果を実験してもらいました。鉄分が多いのはレバー、ひじき、ホウレンソウ、マグロ・カツオの赤みの魚です。植物性の鉄分は吸収率が低いです。動物性の鉄分(お魚や肉)は吸収率が高いですが、毎日摂り続ける事は難しかったです。ツナ缶のグループは続け易かったようです。いつも朝トーストだけの人がパンにのせたり、ツナサンドにしたり、いつもご飯の人はツナマヨのお握りにしたりすると続けやすかったようです。ツナ缶はマグロ、カツオですから鉄分が多くて、動物性で吸収率が高く、お値段も手ごろで、日持ちもよく、続けやすい食材です。鉄分が補充されると脳に酸素が行き渡り元気になったと実感できます
 今の季節(3月頃)にはあさりも鉄分、ミネラルが多いのでオススメです。

体内年齢を若々しく保つには?

 アメリカでデザイナーフーズピラミッドが発表になりました。細胞ががん化するのをブロックする働きが強い順にランキングされ、最上位に選ばれたのがニンニクです。生姜、お茶も上位にランクされています。野菜では、ほれんそう、小松菜、さらに上位はニラ、パセリ、セロリです。果物ではスイカ、メロンさらに上位にはグレープフルーツ、オレンジの柑橘類でした。
 共通点があります。香りです。香りの成分はビタミンやミネラルよりも元気にしてくれるのではないかと、香りのパワーが注目されています。「アロマセラピー」聞かれたことありますか。香り療法です。いろんな精油などが売られています。眠れないときにはラベンダーの香りを嗅ぐといいですね。
 私は食べ物のパワーでリフレッシュしたり、リラックスしたり、自分の体調に合わせて摂り入れてもらえる身近な食材を使ったフードセラピーを広めたいと思っています。香りというとハーブ、洋の物を思い浮かべる方も多いですが、日本にもハーブは多くあります。シャキッとしたいときは木の芽の香りです。サンショオールと呼ばれる香り成分が含まれています。この成分が血管を広げ血液を体の隅々まで届け、自律神経を整えてシャキッとさせてくれる働きがあります。反対にホッとしたい時には三つ葉の香りです。三つ葉には、ミツバエンという香り成分が含まれています。ミツバエンは自律神経を安定させてくれてイライラやストレスを抑える働きがあります。
 スパイスではシナモンもホッとさせてくれます。
 グレープフルーツの香りもシャキッとさせてくれます。八朔、甘夏、ゆずなど、柑橘類に含まれている香りの成分がリモネンです。さわやかな香りを嗅ぐと運動したときに出るのと同じ燃焼系のホルモンが出ます。柑橘類をむくときに香りを意識するかしないかで香りのパワーによってホルモンの出方が違ったりします。いい香りがするな〜と意識してください。
 今、注目されているのが色のパワーです。トマトで有名なリコピンは赤い色のパワーです。カロテンは黄い色のパワーです。
クロロフィルは緑の色のパワーです。
 魚の色にもパワーがあります。魚にも流行りがあります。昭和30年代は白身の魚、高タンパク低脂肪のタイとかヒラメです。40年代になると赤です。タイよりもマグロの方に鉄分があります。妊婦さんや貧血の方には栄養があって良いと言われました。平成では背の青い魚にはDHAがあり記憶力がよくなる、EPAがあり血液がさらさらになり生活習慣病予防に良いとして注目されました。
 最新のトレンドの色はピンクです。サーモンピンクの鮭、サーモンピンク色はアスタキサンチンと言って体内年齢を若々しく保ってくれます。アンチエイジングにいいと言われているのがアスタキサンチンです。富士フイルムが莫大な広告費をかけて化粧品やサプリメントなどを出しています。その成分がアスタキサンチンです。
 いろんな色や香りのパワーを上手に摂り入れて行きましょう。

 アンチエイジングの最新情報をお伝えします。
 栄養学の研究も20年前はビタミンの時代、その次はミネラル、次は野菜の色、香りと進んで来ました。そして今は食べるとき、どんな環境で、どんな気持ちで、食べるかによって食べた物の燃え方が変わってくる、このような研究が進んでいます。
 私たちはご飯を食べると体温は少し上がります。ご飯を食べると少し手足がポカポカしませんか。食べた物を燃やして新しい細胞を作っているサインです。
 今、ご飯を食べても体温が上がらない人が増えています。例えばコンビニのお弁当を一人で10分で食べるとカロリーは摂れますが、体温はあまり上がりません。栄養補助食品を一人で1分で食べると栄養は摂れますが体温はほとんど上がりません。点滴ではまったく上がりません。同じカロリーを摂っても体温の上がり方が異なります。
 食事をする時、今日の料理は「色がきれい!」、「いい香りがする!」、「旬のものが入っている!」、「これを食べたら元気になれる!」など、ワクワクしながら楽しんで食べると体温が上がります。何も考えずにご飯を食べるのと、ワクワクしながら食べるのとでは、体温の上がり方は変わります。
食事はワクワクしながら楽しくいただきましょう




平成28年3月 講演の舞台活花



活花は季節に合わせて舞台を飾っています。


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