第10回
一般教養科目公開講座
於:SAYAKA大ホール
平成27年3月19日

植物の機能 花と緑のふしぎ




甲南大学理工学部教授
田中 修 氏

  

講演要旨

身近な草花や樹木、野菜や果物たちが秘めている「しくみ」や「パワー」の“すごい”世界へのいざないです。
 

 はじめに
 朝日放送の60秒公共コマーシャルで私の「もやしの話」が取り上げられました。「もやしは真っ暗な部屋で光を求めて成長します。光が当たると喜んで成長を止めます。健気なモヤシのつぶやきに耳を傾け自然とのかかわりを見直しましょう」という趣旨のメッセージでした。このCMは賞をいただきました。健気なモヤシの姿が多くの人の心を打ったのでしょう。身近なモヤシなのにあらためて人々の心を打つということは私たちが日ごろいかに植物の生き方に無関心、無感動であるかを意味していると思います。本日は皆さんに植物により興味を持っていただくようにお話をしたいと思います。

1.能力が、すごい!
@ 光合成の力
 昔の人が植物について不思議に思っていたのが、動物はものを食べて大きくなるのに、なぜ植物は何も食べないのにすくすく成長するのかということでした。アリストテレスは目に見えないが土の中で食べていると考えていました。後年ファン・ヘルモントが「何を食べているのか」を調べましたが、わかりませんでした。わからないのは当然で人間が食べるような形で食べているのではなく、根が吸収した水と空気中の二酸化炭素を材料に太陽の光を使って光合成し、エネルギーの源になるブドウ糖、でんぷんをつくっているのです。自分でつくっているので「食べる」必要はないのです。
 私たちは現在植物の成長の謎を感じる前に学校で早くも光合成の概念を教えられて当たり前のこととしていますので改めてその力を考えることがありません。しかしここで考えてみましょう。たとえば、春に一粒のお米を水田に蒔いたら秋には一株に成長し、それに20本ほどの穂が出ます。その穂には80粒のお米が実ります。一粒が1600粒になるのです。元本1万円が6か月間で1600万円になるほどのすごさです。しかもその材料はただの水と二酸化炭素、反応のエネルギーは太陽の光です。大量にあり安全でコストはゼロです。
 もし我々がこれを真似ることができれば食料不足の問題も、肥料をつくることが原因で起こる環境問題も、トウモロコシのでんぷんからアルコールができるようになっているのでエネルギー問題の一部も解消されます。しかしここまで発達した我々の科学でも光合成を真似することは出来ないのです。たった一枚の葉っぱにも及ばないのです。我々は植物の前にもっと謙虚になって多くのことを学ばなければならないと思います。
A 子孫を残す力
 地球上の全動物は植物のつくってくれたものを食べて生きています。その植物を前にして、「動物は動き回れるけれども植物は動きまわれない」というような言葉を使うことがあります。しかし実のところ植物は動き回る必要がないのです。
 これは植物の側に立った負け惜しみでしょうか。吟味検証して見ましょう。動物が動き回る目的は、一つには食べ物を探すためです。植物は光合成をしているのでその必要はありません。もう一つは生殖の相手を探すために、つまりオスとメスが合体して子孫を残すために、動物はウロウロしますが、植物はひと花咲かせた後に大仕事があります。子孫をつくるということです。同じ花の中に雌蕊と雄蕊があるのだから種子や子孫は簡単にできるのだから大仕事″とは大げさだという人がいますが、植物は同じ花の中の雄蕊雌蕊で子孫をつくろうとはしていません。同じ花の中でできる子孫は同じ弱点を持つために、増えても同じ弱点を突く病気などがはやると全滅してしまうからです。だからできるだけ別のオスとメス同志が合体していろいろな性質の子孫を残すことを目指します。
 自分の花粉が雌蕊につかないように雌蕊は雄蕊よりも高いか長いかして雄蕊が届かないようになっています。雌蕊は他の花の花粉を求めています。浮気願望とも言えます。家庭内別居状態ともいえるでしょう。キキョウのように雄蕊ができて散った後に雌蕊が出るように時期をずらす作戦をとることもあります。雄蕊先熟、いわばすれ違い状態です。モクレンやコブシの場合は反対に雌蕊先熟です。こうして接触を避けています。そうするために雄花と雌花が別々に咲くゴーヤなどもあります。キュウリ、スイカ、カボチャもそうです。さらに雄株・雌株として完全に株として離れているタイプもあります。代表的なものがイチョウです。キーウイ、サンショウ、アスパラガスもそうして完全に別れて生きています。植物はなぜ性がオスとメスに分かれているのかよくわかっている生物です。
 花粉は他の雌蕊に移動したいと考えていて、その方法として虫や風に頼ります。相手次第ですから不安がありますが、植物はその不安を打ち消すような仕組みを備えています。たとえば、スギは大量に花粉を風に乗せます。花粉の移動を虫に託す植物でも、花粉を多くつくるために雄蕊の数は多くなっています。ソメイヨシノでは20本から30本、ツバキは品種によっては100本。キンシバイ、ビヨウヤナギなどは200本以上もあります。
 次に虫を誘い込む努力もします。色や香りでひきつけます。蜜まで用意します。春の花壇の華やかな彩りは花々が仲良く咲いている印象を与えますが、実は各々が虫をおびき寄せる工夫を凝らして競い合っているのです。花の形、大きさ、色、香り、蜜の味などに変化をつけ、子孫を残すために全力でアピールする生存競争の舞台と言えます。
 これ以上に大切なことは、同じ花はすべて同じ時期に花を咲かせないと花粉を運んでもつけられないということです。ですからナノハナは春に、コスモスは秋に一斉に花咲きます。しかし季節を決めていても春や秋の初めと終わりではかなりの隔たりがあります。植物は季節を知っている″と言いますが、かなり限定して、月日まで限定して知っているのです。
 たとえばソメイヨシノは大体4月5日の前後10日くらい花を咲かせます。ハナミズキは4月下旬から5月上旬までの花です。クチナシの花は6月下旬、延びても7月上旬くらいです。アジサイ、ヒガンバナも同じ時期に一斉に花咲きます。キンモクセイも秋の香りとは言ってもせいぜい10月上旬の10日ほどです。こうして月日を限定してきます。これを月ごとにまとめたものが花暦です。
 これでも不安を感じる植物があり、1日以内で萎れてしまう植物は時間限定をします。アサガオは朝一斉に咲いて夕方には萎れます。ツキミソウは夕方一斉に、ゲッカビジンは午後10時に一斉に花を開きます。時計の針がまわっている花時計がありますが、これは本来のものではなく、時計台の花壇のそれぞれの時刻に咲く花を植えて、その花を見て時刻を知るのが本来のものです。多くの花が咲く時間を決めていることを象徴するものが花時計なのです。西洋ではfour o’clock flower の名で知られているオシロイバナは日本では午後6時ごろに咲いて翌朝には萎れます。長く伸びた雌蕊は他の花粉を求めるのですが、それに成功しない時は萎れる前に巻き上がって同じ花の花粉をつけて受粉します。他の花粉を受けられない場合は子孫を残さないよりはましとして同居の花粉で間に合わすのです。保険のかかった浮気願望とでもいえるでしょう。ツユクサも朝早く咲きますが、他の花粉を得られないと雌蕊は巻き上がって絡まるようにして萎れます。
 こうして植物は子孫を残そうとします。いったいどれくらい残すのでしょうか。タンポポの綿毛の先にある黒い一粒を栽培すると3か月で花が5個くらい咲きます。1個の花には200個ほどの種子ができますから3か月で1000倍、それを栽培すると3か月でさらに1000倍になり、6か月では1000000倍になります。100円が1億円になる勘定です。これが、植物が子孫を残す力なのです。動き回ることなく子孫を残す術を身に着けています。
B 身体を守る力
 このように光合成の力もすごいし、子孫を残す力も強いです。では自分の身体をどのように守っているのでしょうか。植物も私たちと同じ生き物であり、同じような弱点、悩みを持っています。それを克服するために日々努力しています。同じ悩みとはなんでしょうか。
 植物の祖先は40億年前に海の底で生まれました。そこから空に輝く太陽を見て、もし陸に上がれば光を一杯受けて光合成で栄養がいっぱいつくれてどんどん繁殖できるだろうとあこがれたのです。やっとその夢がかなうのが4億年から5億年前です。ところが上陸するとあこがれの太陽は優しくなく、海では水に吸収されていた紫外線が待っていたのです。紫外線は活性酸素を発生させる作用を持っています。シミ,しわ、白内障、さらには皮膚がんの原因になります。活性酸素という語は、耳には心地よい名前で、ちょっと吸えば元気になる酸素なのかと思いがちですが、周知のように病気の90パーセント、成人病、ガン、老化はこれが原因だと言われています。
 反対に活性酸素を減らせば肌が若返るのです。植物も同じ紫外線のあたる中で生活していますが、シミも皺もできません。では植物に紫外線は優しいのでしょうか。実は植物のからだの中にも活性酸素を発生させています。活性酸素の実体は、撒いた場所の草を数日で枯らしてしまう除草剤のパラコートやばい菌を全て殺すオキシドールの作用です。これが活性酸素の恐ろしさです。そんな環境の中で生きていかなければなりませんから植物は活性酸素を消去する物質をつくります。抗酸化物質と言います。代表的なものがビタミンCで、イチゴ、レモンに多く含まれているのは周知のとおりです。
 ビタミン欠乏症というものがありますが、Aの欠乏は夜盲症、B?なら脚気、Cなら壊血病、Dならクル病です。コロンブスやバスコダガマなどが航海した時船員たちを苦しめたのが壊血病でした。バスコダガマの場合は乗組員の半数以上が亡くなっています。歯茎から出血し、ひどくなるとものが食べられなくなり死に至るのです。その後ジェームス・リンドが遠洋航海では新鮮な野菜などが不足していることに着目しました。彼の指導によりジェームズ・クックはその病気による死者を一人も出さなかったのです。ビタミンCが大活躍した世界最初の事象です。
 もう一つの抗酸化物はビタミンEです。若返り、老化抑制のビタミンで、ラッカセイ、モロヘイヤ、ダイコンの葉っぱによく含まれています。人はどんな植物がビタミンCやEを持っているかはよく知っているのになぜ持っているかを考えません。植物が自分の身体を守るためにこれを持っているのであって、人間はそれを利用しているのです。人は激しい呼吸をするのでより活性酸素を持っていて悩みはより大きいです。
 もう一つの抗酸化物はポリフェノールという言葉を代わりに使うこともあるアントシアニンです。赤い花または青い花の色素に含まれています。ほかにカロテノイドという黄色の花の色があります。花はその中に多くの抗酸化物を含んでいます。きれい、美しいと人が呼ぶ花の大事な仕事は虫を誘う以外にこうして自分の中に生まれる子供を紫外線から守るという大切なことなのです。そのために花弁の中にたくさんの抗酸化物を持っているのです。太陽が強く照りつければ照りつけるほどますます濃い色になりどんどんきれいになります。高山植物の花のきれいさの理由もわかるというものです。
 花びらを食べればより健康にいいのではないかと考えるのが自然ですが、それを防ぐために花にはおいしさを邪魔する物質が含まれていて、苦かったり、えぐかったりするようになっています。食べるためには品種改良が必要ですが、それに成功したのが食用菊「もってのほか」です。花の段階で食べられるなんてそれこそもってのほか″なのですが、種子をつくる前に食べられたくないのは当然です。実になってもまだこのような色素(ブドウやナスビやブルーベリーのアントシアニン、カキやアカパプリカのカロテノイド、トマトのリコペン)は中の種子を守っています。色づいた野菜や果実の姿は子供を最後まで守ろうとしている姿だと考えるとその意味がよく分かります。
 こうして色づき熟すことで、動物たちに種子を食べて、運んでもらって自分が動き回ることなく繁殖するという能力を持っていますし、最後まで紫外線から種子を守るという役割も持っているのです。同時に人間の健康を守ってくれます。1月15日がこの果物の日であり、ビタミンCの王様であるイチゴはアントシアニンも持っています。愛ベリー、とよのか、など様々な名称がつけられ販売されています。最近では白いイチゴも開発されて紅白のイチゴは引き出物にも使われています。以前はイチゴの旬は春でしたが、最近は出荷のピークが1月15日になるように栽培方法も工夫され電照栽培が取り入れられています。温室で温度管理をし、照明で日照を管理して栽培します。他に、本州では生では食べられませんが、イチゴの10倍以上のビタミンCを持つアセロラ(別名:バルバドス・チェリー)という果物があります。さらに、カムカムというアセロラの数倍ビタミンCを含むペルー産の果物があります。
 ビタミンCのイメージは従来レモンに由来して黄色だったのですがこれらが登場して赤に変わってきています。ビタミンCの必要量は1日100rですが、それ以上多く摂る風潮にあります。このように多くのビタミンCを取るようになったのはライナス・ポーリング博士が1970年代にこれを取ると風邪の予防になると提唱し始めたからです。がんの予防にもなるし治療もできるとしたからです。ノーベル賞を2度受賞していたこともあり彼の言説はマスコミの取り上げるところとなって事態が沈静化する前にビタミンCの大量摂取の風潮は広がってしまいました。
 もう一つ植物が健康を守ってくれている例は、フレンチ・パラドックスという言葉で表されているものです。脂ののった肉を使い、チーズやバターを多く含むソースのかかったフランス料理はコレステロールを増やすのでフランス人は心臓病で死亡する率が高いのではないかと考えるのが世界の常識ですが、調査の結果を見るとイギリスやアメリカでの死亡率よりは低いのです。脂肪を多く摂るのに心臓病による死亡率が低いという現象をフレンチ・パラドックスと呼びます。この謎を解くカギはブドウでした。1991年アメリカのCBSテレビで「赤ワインを飲めば心臓病が予防できる」という放送が流されたのです。確かにフランス人は水がわりにワインを飲むと言われていますから、この放送を見たアメリカ人が一斉にワインを買いに走り店の在庫がなくなったそうです。赤ワインにはポリフェノールである、アントシアニン、カテキンが含まれていますから根拠はあるのです。科学誌「ネイチャー」にもそれを遺伝子的に裏付ける論文が出ました。ついでながら白ワインは真ん中の果肉だけを使うためにポリフェノールの量が大変少ないのでこの効果は期待できません。
 いくつかの機能性成分の効果がわかってきています。ポリフェノールの中のレスベラレトロールは寿命を左右し、長寿遺伝子と呼ばれるサーチュイン遺伝子を活性化するものとして注目すべき物質です。2012年には老化を予防する野菜としてアオジソが出てきました。しかし効果を得るには大量に摂る必要があり現実的ではありませんが、こういう物質が見つかったことが大事で、そのうちサプリメントがつくられるでしょう。骨粗しょう症を防ぐにはブルーベリーを取ればよいこともマウスによる実験で分かりました。これは目にも良いことも分かっています。温州ミカンが肝臓に良いことも分かっています。ベータクリプトキサンチンが含まれているのがその理由です。コンニャクも食物繊維が豊富で低カロリーであるため、日本では定着していますが、外国でも見直されています。

2.秘めた力が、すごい
 このように植物は人間の健康も守ってくれますが、秘めたる力はすごいと言えます。イネは自然界では子孫を増やすために穂ができ種子ができるとばらばらになって散らばろうとします。このイネの脱粒性を非脱粒性に変える必要がありました。モミの中に種子がないシイナ(粃)は他家受粉でできやすいので自家受粉する種子を選び抜いて改良してきました。
 背の高さも改良点で明治時代に120センチメートルありましたが最近のコシヒカリでは85センチメートルまで低くなり肥料の効率もよく風にも強くなって収穫量が上がっています。長い年月栽培によって人はイネの性質変化を実現したのです。脱粒性から非脱粒性へ、強い自家結実性を持つ方向へ、そして矮性化にも成功したでのす。開発途上国の食糧飢饉の危機を救った緑の革命では日本の矮性品種のコムギ(農林10号)が活躍しました。ボーローグ博士はこれとメキシコ産のコムギから新種をつくり出し1970年世界の食糧不足を改善したとしてノーベル平和賞を受賞したのです。イネの品種改良の目的は栽培地域の拡大に始まり、おいしさがそれに続きますが、背丈を低くすることはずっと追及されてきました。
 三大肥料の一つである窒素を我々は数百気圧、数百度もの温度のもとで莫大なエネルギーを費やして窒素と水素を化学反応(ハーバー・ボッシュ法)させて工業的にアンモニアをつくって得ています。この発明のおかげで食糧増産に成功し15億人の世界人口が70億人まで増えたと言われ、ハーバー・ボッシュ法は空気をパンに変える方法だとまで言われました。しかし、レンゲなどの植物の根に居る根粒菌はこの反応を常温常圧でいとも簡単にやってしまいます。これを見習って、膨大なエネルギーを使わなくても窒素肥料を得る方法が現在研究されています。
 また、品種をつくるときにも植物の潜在能力は生きてきます。果物については、新しい品種の生まれ方に、全く偶然に出てくる偶発未生、枝の性質が途中から変わる枝変わり、そして、交配の三つがあります。ナシの「20世紀」は偶発未生で生まれました。生まれは千葉県、栽培で名をあげたのは鳥取県です。枝変わりの例は、平核無という品種から生まれた刀根早生というカキです。この二つは人が偶然見つけるだけですが、交配は人が意図的に掛け合わせるものです。日持ちはよくないが甘い「黄玉(きだま)」という品種と、すっぱいが日持ちのよい「ナポレオン」の品種をかけ合わせてできたのが「佐藤錦(サトウニシキ)」というおいしいサクランボです。
 世界最古の栽培種は一見イネやムギのように思えますが、これらは調理しなければ食すことができません。それをしなくても食べられるものがもっと古いものであることは容易に察しがつきます。ヨルダン渓谷の遺跡でイチジクが見つかりました。それが種なしのものであったことから世界最古の栽培種であるとなりました。なぜなら種なしの果物は人の手による挿し木、接ぎ木でしか増えないからです。植物にこういう潜在能力があることは素晴らしいし、人間が挿し木、接ぎ木など努力を怠らずその能力を発見し、育て、品種改良に成功したのも素晴らしいことだと言わなければなりません。

3.魅力がすごい
 植物の魅力がすごいのは奈良時代に編纂された万葉集4500首の中の1500首に詠われていることからも分かります。166種の内多い順にハギ(138)、ウメ(118)、サクラ(42)です。サクラがウメより多くなるのは平安時代の古今集の中で、サクラは61首、ウメが28首となっています。キクは現在日本の象徴的な植物ですが万葉集には見当たりません。奈良時代の末に中国から入って来たものだからです。紅葉鍋、牡丹鍋、桜鍋など料理にも植物の名前が使われています。間もなく桜が咲き始めますが、「日本さくらの会」は3月27日を「さくらの日」と制定しています。NHKの「アインシュタインの眼」では、桜の美しさを取り上げ、河津さくらが一斉に咲く様子を描いていました。サクラはつぼみの中にすべての要素をそろえていつでも咲ける体制で冬眠しています。秋の間にアブシシン酸という休眠物質を葉でつくって芽に蓄えます。この物質は冬の寒さを経験していくことで減っていきます。そして春の暖かさを感じて、開花を促すジベレリンが働き、同じ地域の桜は一斉に目覚めるのです。接ぎ木を繰り返して増やす桜はクローンのようにすべて同じ性質を共有していることも一斉に咲く理由と言えます。花の数が10万個を超えること、そして葉っぱが後になるのも美しさを増す理由でしょう。
 話は尽きませんが、時間の方が尽きました。これで終わりにします。




平成27年3月 講演の舞台活花



活花は季節に合わせて舞台を飾っています。


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