5回
一般教養科目公開講座
於:SAYAKA小ホール
平成20年10月16日
 
宇宙船地球号という挑戦
~持続可能な世界を作ってゆくために~


NPO法人「宇宙船地球号」理事
山本 敏晴 氏



講演要旨

写真によるスライドショーを通じ、その映像の中に講師が入り込み臨場感をもって世界各地の現状を解説します。 各地で起こっている様々な問題と日本との関係を説明し、あなたがたが世界に対しててできることを紹介します。


1.世界で一番 命が短い国 ―シエラレオネ

 シエラネオネは、西アフリカにある北海道くらいの広さに400万くらいの人が住む国である。家もプラスチックや鉄やコンクリートも使っていない泥レンガ造りで、壊れたら自然に戻る。我々先進国は、アフリカなどを発展途上国、後進国といっているが、現代のテーマである「持続可能性」を考えると、見習わなければならないのは先進国なのかもしれない。

 ところがこの国の平均寿命は34歳で、日本の半分もない。5歳までに3人に1人の子どもが死ぬ。戦争と内戦もあるが、栄養失調が原因である。

 2001年から2002年にかけて、私はこの国に病院と診療所をつくりに行った。しかし私は、医療だけを行っていても、未来に残る意味のある援助にはならないのでは?と疑問を持ち、現地の人々への教育を始めた。私たちが日本に帰った後に、その国が再び医者のいない状態に戻ってしまっては意味がないからである。そうならないためには、現地の人々に対する教育を行い、現地人の医師や看護師を育成すること必要だと思った。彼ら彼女らが私とほぼ同じレベルの医療ができるようになったら、未来永劫ずっと続くこの国の医療体制がこの国にできるはずだ。

 その後、4回この国へ行っているが、私が作った病院たちは、いまだに稼動を続けている。なんとか未来に残せたのではのではないかと思っている。


2.紛争地帯 ―アフガニスタン


 アフガニスタンはインドとアラビア半島の中間にある。中国・ヨーロッパ・ロシア・インドに囲まれ、シルクロードの交差点である。

 国の中央を、石油と天然ガスを運ぶ直径2mのパイプラインが通っており、その利権のために超大国が介入した戦争が絶えない。 宗教の問題もある。イスラム教のスンニ派、シーア派の対立があって内戦が続いている。

 この内戦を更にひどくしているのが「水」の問題。地球温暖化による気候変動で、アフガニスタンに降る雨の量が極端に減っている。

 世界で妊産婦死亡率が一番高いのがアフガニスタンである。妊産婦の92%が自宅で出産する。私はこれを治しに行ったのだが、私は医師という立場ではなく、団体のコーディネートを行う立場で活動した。

 最初はここでも、医療をしながら教育をし、未来に残る意味のある援助をしようとしたが、この国ではまだ戦争が続いており、終結する見込みはなかった。 戦争の続いている国では、たとえ病院を造っても壊されてしまい、手塩にかけて育てたスタッフが殺されてしまうことがある。未来に残る意味のある援助を実現するためには、医療と教育だけではダメで、戦争を止めなければならない。結局アフガニスタンではうまく行かなかった。

 未来に残す活動をするためには、いろいろな側面が必要であることに気づかされた。それは①政治の安定 ②経済の調整 ③教育の普及 ④医療と公衆衛生 ⑤環境問題への配慮 である。これら全てを満たした時に初めて、「未来に残る、意味のある国際協力」になるのではないか。

 とはいえ、自分一人では出来ないし、かなり大きな団体(国際機関等)でも、これら全てを実行できるものは存在しない。しかし 「たくさんの人たちがそうしたことに目を向け、将来その人がどんな分野でもいいから、自分のいる場所で、世界のことを考えながら働いてくれる人を増やすことができたならば」。 そういう思いでつくった団体が、NPO法人・宇宙船地球号である。


3.「お絵かきイベント」 ―カンボジア

 宇宙船地球号は、4つの活動をしている。

①プロとして国際協力を行う「国際協力師」の養成
②環境と社会性に配慮した会社を増やすCSRの推進
③世界に目を向けながら地域社会でくらしてゆく「賢い消費者/市民」の養成
④世界の子どもたちに大切なものの絵を描いてもらう
「お絵かきイベント」

 そのうち、④「お絵かきイベント」について、カンボジアでの画像をみながら紹介する。

 「お絵かきイベント」は、193の国連加盟国と、20の認めてもらえない全ての国の子どもたちに、「自分が一番大切だと思うもの」の絵を描いてもらい、その子の家を訪問する活動をしている。

 どうしてこの子はそれを大切だと思うようになったのだろう。どういう社会背景の国、どんな問題のある国に住むと、子どもがそれを大切に思うようになるのか、ということを調べる作業をしている。
世界の子どもたちが描いた「大切なものの絵」は、その国の戦争や内戦、貧困の問題、人権問題、環境問題などに影響されることが多く、その子を撮影した写真やビデオと合わせて提示すると、その国の社会背景をインパクトある形でわかりやすく説明することができる。

 カンボジアでは6つの小中学校で650人の子どもたちに絵を描いてもらったが、既に67カ国、2万枚の絵が集まった。

 みなさんも、3つの大切なものを考えてほしい。
①あなた自身の一番大切なもの
②あなたの隣に座っている人が大切に思っているもの
③あなたが一番嫌いな人が大切に思っているもの

 その3つの全てを、同じくらい大切だと思えるようになったとき、世界中から戦争をなくすことができるかも知れない。

 最近マスコミには、「世界の多様性」という言葉が出てくるが、世界の多様性とは、世界にはいろんな国があり、たくさんの人がいて、いろんな考え方がある ということではない。
 あなたが正しいと思っている考え方があるときに、それと全く180°逆の考え方をする人が、世界のどこかには必ずいて、その人の考え方も、あなたとちょうど同じくらい正しい・・・ということを認識できることである。これを世界の多様性であると知ることである。


4.地球 ―日本

 私たちは、宇宙船地球号という大きな船に乗っているが、そこには限られた資源と限られたスペースしかない。その地球にいま、ゴミの増加や温暖化など大きな危機が起こっている。日本は外国にも目を向けなければならない理由がある。自給率だ。食糧で39%、エネルギーではわずか3%しかなく、自分だけでは生きられない弱い国である。

 世界の人口はいま67億人だが、2050年には、100億人を突破し、120~93億人になる。資源の奪い合いから、戦争や餓死や貧困でこの地球号は地獄絵になるかもしれない。

 日本で出来ることは何か?
まず、こういうことを知りながら、無関心でいる という悪魔をやっつけることだ。

    Think global, act local.

 消費者にできることは、

①電気・水の節約
②家庭から出る二酸化炭素を減らす
③ゴミの減量(今使っているものを大事に使う)
④余計なものを買わないこと(必要なものを買うときは環境によい企業の商品を買う)
⑤これらを家庭、会社、学校など、コミュニティとして取り組む

 とくに賢い消費者の一番重要な仕事は、CSR(企業の社会的責任)と取り組んでいる会社の商品を、優先的に購入することである。この体制が社会にできあがれば、環境に配慮し社会貢献をする企業だけが未来に残っていき、そうでない企業は駆逐されていく。買い物が世界を動かすと知るべきである。

   すべての人が、未来の子どもたちが幸せになるように頑張ってみたいなら、
                ぜひ、世界に目を向けてほしい。





《講師未見承》


平成20年月 講演の舞台活花

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